会長挨拶
新生児医療連絡会会長 徳久 琢也(鹿児島市立病院 新生児内科)
2023年4月に新生児医療連絡会(以下、連絡会)は新執行部体制となり、南 前会長より会長職を引き継がせていただきました。私自身はこれまで連絡会の活動にあまりアクティブなほうではなく、むしろ後方から支援するような立ち位置でした。これまでの諸先輩方の活動を鑑みるに、その責任の大きさを感じております。できることを少しずつ前に進めていこうと思います。
連絡会の特徴の1つに、フットワークの軽さが挙げられます。2022年に通信で実施された総会議事録に、連絡会の役割が述べられています。「学会は、新生児医学に興味ある人の集まりで、ローテート研修医や他領域小児科医、他職種の皆さんにも広く門戸を開いているのに対し、連絡会は、原則NICU勤務医師・新生児科医の集まりです。また、学会は公益社団法人としての都合上、種々の制限がありますが、連絡会は任意団体(同好会と同じ)であり、構成員の自由な意志で迅速で幅広い活動が可能です」とあります。
これまでも、周産期領域の学会と連携して、厚生労働省との周産期医療体制整備の折衝、診療報酬改訂に対する要望、災害時の新生児医療支援(医療施設への人的支援、避難所での赤ちゃんのためのQ & A)、学術研究支援などを行ってきました。今後も、これまでに構築されてきたネットワークを活用し、連絡会のフットワークの良さを発揮していきたいと考えています。
2019年末から始まったCOVID-19は、一般社会だけでなく我々医療従事者にとっても未曾有の経験となりました。パンデミック下での医療者の負担は想像を絶するもので、多くのNICUでパンデミック初期の情報が少ない時期にいかに赤ちゃんを守るかを試行錯誤されたかと思います。
2023年4月には「こどもまんなか社会」の実現を目的としてこども家庭庁が発足しました。子どもにまつわる行政の担当を一本化し、社会全体で子どもを育てることを目指して発足した行政機関です。少子高齢化の加速、子どもの貧困、いじめや虐待、子育ての負担など幅広い子どもの問題に、各省庁バラバラでなく一元化して対応することを目的としています。
そして2024年4月から、「働き方改革」新制度が施行されます。これまでの医療体制は医療従事者の「長時間労働」に支えられていた面がありますが、新制度を受け医師を含む医療従事者の働き方が大きく変わります。働き方改革のキーワードとして「タスクシフト・シェア」があげられます。タスクシフト・シェアは医療にかかわるすべての職種でそれぞれの専門性を活かせるよう業務分担を見直し、負担軽減と同時にチーム医療の水準を上げることが目的です。
このように、医療環境や社会環境は近年大きく変化しています。連絡会の新執行部としましては、これらの医療社会環境の変化に積極的にかかわり、新生児医療の発展を目指したいと思います。皆様方のご支援をよろしくお願いいたします。